股関節の痛み(その2) 横浜市 30代 女性 【基本治療】
~予防医学としてのオステオパシーの役割~
「歩いていて、急に右の股関節が痛くなった。
初めは動作時の痛みだけだったのが、
最近は、じっとしていても痛みが気になる
ようになってきた。」
《 整形外科の検査の結果 》
レントゲンでは、股関節には異常なし。
《 オステオパシーの診断で見つかった機能障害 》
・右の卵巣の下垂
・尾骨の変位
・骨盤内リンパのうっ滞
*
*この方の、右の股関節を検査してみると、
関節包(かんせつほう)という、
関節を包んでいる膜に、軽度のねじれが
あった。
* しかし、股関節の可動検査は、正常の範囲で
あり、あまりその影響を受けていない。 * そこで、“オステオパシーの診かた”で、
からだの繋がりに着目して診ると・・・
この方の右股関節の痛みの原因は、
“右の卵巣の下垂”であった。
* この方は、尾骨の変位により、骨盤内の 膜が右側に引っ張られている。 その結果、右側の骨盤内に
“リンパ液のうっ滞”がおき、 * うっ滞したリンパ液が、網の目のような リンパ管を通して、 右の卵巣を下に引っ張っていた。 * おそらく、右の卵巣の下垂により、 “卵巣の循環が障害”されて、 右の股関節周辺に、痛みを出していた と思われる。
《 オステオパシー治療の内容 》
①まず、尾骨の変位をやさしく矯正。 この時点で、骨盤内の膜の緊張が緩む。 *②続いて、骨盤内に溜まったリンパ液を 少しずつ流していく。 リンパが流れ、骨盤内のリンパ液のうっ滞が 解消されると、 右の卵巣にかかっていた、テンションが 緩むのを感じる。 *③最後に、右の卵巣の動脈循環を確認して、 治療終了。 再度来院した際、お話を伺うと、治療の翌日
から、痛みは消失したとの事。 *
治療後の問診では、特に、尾骨をぶつけた訳でも
無い様子。
この方は、二児のお母さんでもあり、おそらく、
出産時に骨盤が緩んだ際、尾骨が変位し、
産後も、そのままになっていた可能性が
あります。
*
ここで、この方の病態の変化を推測してみましょう。
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*
①尾骨が変位し、骨盤内の膜を右に引っ張る。
やがて、右の骨盤内のリンパ循環が滞ってくる。
②右の骨盤内に、だんだんと、リンパ液が
うっ滞してくる。
うっ滞したリンパ液は、リンパ管を通して、
右の卵巣を下に引っ張るようになる。
③下に引っ張られている右の卵巣の、
動脈循環が悪くなってくる。
この右の卵巣の循環制限を“右股関節の痛み”
として、感じていた可能性がある。
*
*
この症例のように、仙骨や尾骨の変位が、
骨盤内の膜を緊張させ、
結果として、卵巣や子宮の循環に影響を及ぼす ケースがあります。 * オステオパシー的な検査は、医療機器による
検査と対立するものではなく、 より良い健康状態を実現する為に、お互いに 補完しあうものです。 * オステオパシーの役割は、数値に表れない こういった兆候を、いち早く見つけ、 からだが、病的な状態になるのを、 未然に防ぐ事にあります。
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