“繰り返す足首の捻挫(ねんざ)” ~ その原因と、全身への影響 ~
【全身のバランスにおける足の重要性】(その2)
日々の臨床の場で、患者さんから、
「同じ側の足首を、何度も捻挫してしまう。」
と、相談を受ける事があります。
同じ側の捻挫を繰り返す場合は、
靴の問題や、その他にも、色々な原因が
考えられます。
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しかし、オステオパシー医の目から見ると、
そういった足首には、ある“共通の現象”
が見られます。
それは、
“足首の関節が、捻挫をした時の位置で
固定されてしまっている”
状態です。
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足首を捻った時は、一時的に関節の位置が
変わりますが、
多くの場合、動かしているうちに、自然に
元の位置に修正されます。
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しかし、
中には、足首が元の位置に戻らないまま、
痛みだけは収まってしまっているケース
があります。
足首の「痛み」は炎症が収まれば、
無くなる為、
患者さんにとっては、その捻挫は
治った(?)ことに、なってしまうのです。
では、足首の位置が片側だけ変わったまま
放置すると、何が問題になるのでしょうか?
それは、
①“足首が真っ直ぐに接地できなくなると、
体の「重心線」が傾いてしまう”
②“傾いた「重心線」を補正する為に、
膝→股関節→骨盤の位置が変わって
きてしまう
ことです。
この状態が長く続くと、その影響は
骨盤からさらに上へと続き、
③“骨盤の位置の変化”から、
背骨→胸や背中のねじれ→首→
顎関節や頭の位置の変化
へと続きます。
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このように、
体の土台である、足の位置の異常は、
骨格を通る「重心線」を変える事になり、
その影響は、全身へと波及します。
詳しくは、
のページをご覧ください。
既に述べたように、
捻挫を繰り返す側の足首は、
“足首の関節が、捻挫をした時の位置で
固定されて”います。
では、
なぜ、足首の位置が捻挫した状態のまま、
ずっと固定されてしまっているのでしょうか?
それは、
捻挫などで足首が無理な方向に引っ張られると、
足首が伸びすぎるのを防ぐために、
足首を支えている色々な組織が、瞬時に緊張して
守る為です。
これは、自然に起こる
体の防御作用(神経や筋肉の防御反応)
です。
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同じ側の捻挫を繰り返す場合は、
多くの場合、この緊張した足首の状態が、
ぞのまま残ってしまっています。
その結果、
足首自体が、捻挫した方向に曲がりやすく
なっており、
まるで、その方向に道が出来たかのように、
同じ足の捻挫を繰り返す事となります。
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オステオパシーの検査で、そういった状態を
見つけた時は、
まず、捻挫により起こった、体の防御反応を
解除します。
瞬時に収縮する事で、足首の関節を守った
それらの組織に、
「もう、大丈夫ですよ」
と、新しい情報を送ってあげるのです。
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具体的には、足首から神経を介して
脊髄や脳に新しい情報を送り、からだの
防御反応を解除します。
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そうすると、緊張から解放された足首は、
捻挫をした時の位置から、元の正常な
位置へと、
自然に戻っていくのです。